協会たより

2013年10月15日 火曜日

最近のトピックス

こどもの食と医療
神奈川県立こども医療センター
神経内科・重症心身障害児施設
井合 瑞江

 
 医食同源という言葉は実は日本人の造語だが、「病気をなおすのも食事をするのも、 生命を養い、健康を保つためで、その本質は同じだということ」と広辞苑に記されている。
こどもにとっては「健康に成長・成熟していく」ために栄養は切り離せない観点となる。
 医療における栄養は、点滴の登場、約50年前のDudrickによる高カロリー輸液考案、小児用アミノ酸製剤の開発、小児用経腸栄養剤、亜鉛・銅・セレンなど微量元素やビタミン類の補充など、様々な病態へのより細やか栄養治療がされるようになってきた。経口摂取ができない、または下手なこどもたちへ、鼻からの経管栄養も可能となり、栄養改善とともに誤嚥による気道感染を防ぐ手立てとなった。
 最近の変化として、胃ろうの増加と経腸栄養剤の見直しが挙げられる。胃ろうの急速な拡がりは老人医療から障害児医療へも及び、10数年前は胃に穴をあけるために全身麻酔をするなんて・・・という時代だったが、腹腔鏡手術の普及も相まって胃ろうが当たり前となった。ここにきて、老人医療では胃ろう造設の是非に様々な議論が生じている。延命行為につながる・栄養補給のみでよいのか・・・本人の尊厳が守られる選択肢の一つとしてどう捉えるかであろう。
 こどもにとっての胃ろうは、老人とは異なる意味を持つ。すでに普通に食事をし機能していた胃腸を使う老人、これから母乳・ミルク・離乳食・・・と腸管の機能成熟が期待されるこども、こどもの胃ろうには"腸を育てる"働きも期待される。経管栄養では、液体以外の注入は難しいが、胃ろうなら、ペースト状の形がある食物を注入できる。このことはとても大きな意味を持つ。"腸が育つ"ためには、本来、腸が機能獲得していく過程で経験していくことをなるべく経験することが必要となる。ヒトの身体は代々DNAに刻み込まれたあるべき生活や経験とちょっとした冒険が、正常に育っていくために必要とされていると思える。寝たきり状態は想定外なので 側彎や骨の脆弱性につながるのと同じように、液体栄養のみでは腸は薄っぺらで吸収力の低い状態になってしまうのだ。
 同じように、経腸栄養剤についても単一の液体で何年も栄養をとることはヒトとしてどうだろうか?経験を積んで大きく育つこども・・・様々な栄養・形態・食材に触れることが望まれる。可能な範囲で"食事"として話しかけ楽しむことも大切だろう。
 こんなことを考えてくると、医療としてやってきたことがやりすぎにならないように、子ども達を大きく見守り、対応していくことの大切さに改めて気付かされる。口から食べることをやめようという医師と食べさせ続ける母親、母の想いの方が正しいことは多々あるのである。
滋養のある美味しいものを食べて、ゆったりと過ごす時間が私たちには必要なのだ。

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編集後記

『発達障害児』をテーマに4年が経過し、今年度は、地域の関係機関の方々と情報を共有できるようシンポジウムを企画いたしました。充実した内容で参加希望者が多く、お申し込みをお断りする事態になってしまい申し訳ありませんでした。
また、小児保健協会の活動についてご意見等ありましたら、事務局までお寄せください。



投稿者 神奈川県小児保健協会