協会たより

2013年10月19日 土曜日

事業報告

~平成24年度 神奈川県小児保健協会の活動状況~


平成24年5月22日(火)  理事会     
   場 所:神奈川県総合医療会館 2A会議室
  
平成24年10月22日(月) 地域母子保健指導者研修会 
   場 所:相模原南メディカルセンター 2階大会議室
   内 容:講演「気になる子への関係機関の支援について」
   講 師:ワンダートンネル橋本発達相談センター所長 千谷 史子氏 
   参加数:83人

平成24年11月16日(金) 母子保健指導者研修会
   場 所:日本丸訓練センター 第1・2教室
   内 容:シンポジウム  発達障害のこどもたちの成長を促すために
        「就学前の支援」 ~いま私たちができること、これから求められること~
   座 長:リソースセンターone 臨床発達心理士          上原 芳枝 氏
   シンポジスト:みどりの家診療所院長                    三宅 捷太 氏 
            横浜市東部地域療育センター地域支援課長       大野  伸之 氏
            藤沢市立藤沢保育園長                         瀬戸富美江  氏
            小田原市障がい福祉課専門監                内田 暁子  氏 
            川崎市こども家庭課長                  堀田 彰恵 氏
              リソースセンターone臨床発達心理士         上原 芳枝  氏
        参加数:151人
                                    
平成25年1月22日(火) 神奈川県小児保健協会のあり方検討会
           
平成25年3月       神奈川県小児保健協会だより(第12号)発行
    
  パイロット事業  協力機関:藤沢市立藤沢保育園(次年度に継続実施予定)

投稿者 神奈川県小児保健協会 | 記事URL

2013年10月18日 金曜日

平成24年度 神奈川県母子保健指導者研修会

平成24年度 神奈川県母子保健指導者研修会
シンポジウム 発達障害のこどもたちの成長を促すために
「就学前の支援」
~いま私たちができること、これから求められること~

座  長         リソースセンターone 臨床発達心理士    上原 芳枝  
シンポジスト
◇小児科医から:みどりの家診療所院長  (医師)                      三宅 捷太
◇療育から:横浜市東部地域療育センター地域支援課長(ソーシャルワーカー)   大野  伸之
◇保育現場から:藤沢市立藤沢保育園長  (保育士)                       瀬戸 富美江
◇行政(福祉)から:小田原市障がい福祉課専門監  (保健師)              内田 暁子
◇行政(保健)から:川崎市市民・こども局こども本部 こども家庭課長  (保健師)  堀田 彰恵
◇園・小学校一貫の発達支援アドバイザーの立場から:
           リソースセンターone(臨床発達心理士)                上原 芳枝

 
-シンポジスト発言要旨 -

小児科医から
■重症心身障害児者多機能支援施設 みどりの家診療所院長
 三宅 捷太 氏


私は障害児医療を中心に教育・福祉・保健と深くかかわってきた小児科医です。臨床医が発達障害のある子どもと家族にいかに接し診療しているかを改めて考えました。まずは地域のかかりつけ医として一般診療をはじめとして予防接種・乳幼児健診・学校健診を通して健康支援をしています。その際の配慮として①診察室は整理に努め不要なものはおかずに単色系の壁・カーテンとする。②診察や注射などの順序の絵カードを作成し言葉と共に説明する。③本人のつらさ、親の困り感に共感し、問題の指摘だけをするのでなく、診断をきちんと言った後で、母親の上手な関わりのアドバイスをする。④睡眠・排泄・良質の水分摂取・自然との接点・親とのスキンシップなど、どの子どもにも共通の「良いとこみつけ」と「ほめて育てる」の子育て支援にまず努める。⑤夫婦仲良く、前向きな家族の姿勢と、治してからではなく発達障害と共にある生活をめざす。広い公園で一緒に走り遊びまわるなどと、子どものすることを親が模倣すると拘り行動が溶けて相互模倣の関係ができる。⑥同じ思いの親同士の交流が光となるので親の会を紹介し、子どもにじっくり向き合える状況を作る。⑦薬剤の利用はこれらを円滑にするためであることを相互に確認して使う。以上、診療所医は毎年変わる保育士・教師に対して、引っ越しがなければ継続して子どもの健康支援と親の子育て相談に乗れる点で存在意義は高く、よい連携対象でありうると考えます。

療育から
■横浜市東部地域療育センター地域支援課長(ソーシャルワーカー)
 大野  伸之 氏


横浜市の各地域療育センターでは、発達に不安を訴えて来所される方の相談をしています。その申し込み数は増加し続けており、各センターで様々な取り組みが実施されています。当センターでの3つの柱として、ソーシャルワーカーの受付から各相談、診療体制および外来での指導内容、早期療育グループ、児童発達支援事業、通園療育における集団療育の取り組みを報告しました。地域での活動の報告では、幼稚園・保育所、小学校等の連携活動として巡回訪問、研修会等を紹介しました。また、幼稚園・保育所で実際に取り組まれている配慮が必要な子どもたちへの取り組みについて写真を通じて紹介しました。近年の幼稚園・保育所での傾向として配慮が必要な子どもの増加は明確であり、各園では「どの子にも過ごしやすい環境」を主点に保育を考えています。療育センターとしてその一助となるよう連携を強化しています。


保育現場から
■藤沢市立藤沢保育園長(保育士)  
  瀬戸 富美江 氏


「神奈川県小児保健協会パイロット事業を実施して」
パイロット事業の実践として、2012年3月発行の協会便りはアドバイスのほんの一例ですが、上原先生の具体的なアドバイスを基に保育を実施いたしました。特に保護者にアドバイスを伝えたことで、「何故こうなるのかと思っていたことが理解できました」と話され、保護者がこどもの状態を理解して関わる姿が見られました。保育士と保護者が共通の認識を持つことができたことは、より良い支援につながったと実感いたしました。

 
行政(福祉)から
■小田原市障がい福祉課専門監(保健師)   内田 暁子 氏


「保育園等巡回相談を実施して」 
公立保育園での発達障害や気になる子が増加する中で、平成22年度より保育士の支援として早期発達支援モデル事業がスタートした。将来の子どもたちの発達支援を視野に入れながら、療育機関の保育士、保健師、臨床心理士がチームを組み実施した。園では、発達障害児の観察をしながら、集団生活でのアドバイスを行っている。保育士へのカンファレンスを通し具体的な解決策を提案していく。また、必要であれば他機関の連携もスムーズにいくようコーディネーター役も行う。年長児については就学相談へ上手くつながるように、3歳までは健診との連携を促し、療育が必要な児は療育機関との連携ができるよう支援してきた。また、親の希望により個別相談と園の巡回相談との連携も始まっている。今年度は、幼稚園や民間保育園へも拡大してきた。
多職種がチームでアプローチすることで、お互いの専門性を理解し発揮しながら、他機関の連携や、よい支援につながってきている。


行政(保健)から
■川崎市市民・こども局こども本部こども家庭課長(保健師)               堀田 彰恵 氏

「川崎市5歳児健康診査事業について」
川崎市では、5歳児健診を昭和60年から実施していますが、平成20年度に問診項目等の見直し検討を行いました。その主な内容は、
●受診票等帳票類の改訂(発達障害の気づきと支援の機能を強化するため問診項目、指導項目等の見直し) 
●啓発リーフレットを作成し健診の案内に同封して送付 
●健診実施医療機関、保育園・幼稚園等関係機関との連携強化  の3点です。
その後、受診率が平成20年度の72.8%から,平成22年度73.4%,平成23年度75.8%と向上しました。また、医師の指導項目に新設された「園の先生への相談勧奨」の助言に従って、保護者が保育士や幼稚園教諭に相談し専門相談機関につながった等の事例も数件認められています。今後も、引き続き発達障害の気づきと支援に向けて、健診後のフォロー機能の強化や関係機関との更なる連携強化等に取組んでいきたいと考えています。


園・小学校一貫の発達支援アドバイザーの立場から
■リソースセンターone(臨床発達心理士)               上原 芳枝  氏

発達障害児・気になる子は、部分的に2~4年程遅れて発達し知的な遅れはないため、子どもに合った育て方により、4年生位までには個性の範疇となる子も多い。従って、「就学までに」と区切る発想をやめ、4年生位までのスパンで他児と同じような言動にゆるやかに"軟着陸させる"視点とプランが必須である。
ある園と小学校を一貫して担当している発達支援アドバイザーとして、子どもを伸ばすた
めに最も重要な "縦の連携" 引き継ぎシステムを紹介しました。
【*上原先生にはシンポジストとしても、ご発言いただきました。】

 

-シンポジウムから見えたもの-
上原 芳枝 氏

「発達障害」という言葉が浸透しつつある昨今ですが、保護者の方や先生方の日々の戸惑いを裏付けるかのように、この日の会場は溢れかえっていました。"発達障害のこどもたちの成長を促すために「就学前の支援」~いま私たちができること、これから求められること~"というテーマでシンポジウムが実施され、医療、療育、行政(巡回相談・5歳児健診)、保育現場から神奈川県内の最前線で活躍されている方々の報告と、東京を中心に活動する私から園と学校の連携の報告、質疑応答で展開されました。座長を仰せつかり、せっかく県下の最前線の方々が一堂に会するのだから、各報告で終わるのではなく「連携」に焦点を絞って進行したいと考えました。
発達障害か否かの線引きは曖昧で、知的障害はないが発達の偏りが顕著で目立つ行動をする子から軽微な子まで状態は様々であるため、まず園で特性に合った対応することが重要ですが、現場の苦境も報告されました。園への支援として療育機関の担当者が園に訪問するだけでなく、対応について園からの確認の電話が入るという報告もありました。巡回相談では専門機関に"つなぐ"ことよりも、まず、より具体的な対応策が園の先生方に提供されることを期待したいと感じました。
人間の骨格でいえば"背骨"に当たる『縦の連携』は最も重要です。気になる子は、部分的に2~4年程遅れて発達するため、「就学までに」と区切る発想を変え、4年生位までのスパンで他児と同じような言動にゆるやかに"軟着陸させる"支援プランが必須となります。私からは、3歳から4年生までの一貫した支援体制で、保護者はわが子が特別支援児であることを知らずに、ほとんどの子どもは4年生までには支援から外れていくことを報告しました。
『横の連携』は園と医療・療育機関の連携です。医療現場からは、園の先生方からの情報提供を積極的に求める旨のお話しがありました。ドクターが保護者と園の緩衝材となることで、よりよい支援も期待できます。これには園、医療機関がオーバーワークにならない書式やシステムが求められるでしょう。
5歳児健診では、保護者の気付きを起点に医療や療育へ"つなげぐ"ことが主な目的とのことでした。「個人情報」の壁が立ちはだかり、主たる支援の場である園や学校に健診の情報提供が難しいことも浮き彫りとなりました。
これから成長する幼児期に、保護者がわが子と他児の違いを"認める"選別の負担からスタートしない支援であってほしい。特性に合った支援は、特別でない当たり前の子育て支援となってほしい。本人が、保護者が、先生が必要以上に苦しまないために、~いま私たちができること、これから求められること~を具現化するには、行政の枠組みの構築はもちろん、必要に応じて現場同士が無理なく有機的に連携して成果をあげ、実証されたモデルとして広く提示することが、実は近道だろうと再認識できたシンポジウムでした。

投稿者 神奈川県小児保健協会 | 記事URL

2013年10月17日 木曜日

平成24年度 地域母子保健指導研修会

日時:平成24年10月22日(月)午後2時~4時
場所:相模原南メディカルセンター 2階大会議室
テーマ:『気になる子への関係機関の支援について』
講師:ワンダートンネル橋本発達相談センター所長
                         臨床心理士  千谷 史子 氏

 平成24年度の地域母子保健指導者研修会は、相模原市が当番市でした。今年度相模原市は発達障害支援センターを開設しており、地域版の母子保健指導者研修会においても発達障害児への支援をテーマに掲げ、地域で活躍なさっているワンダートンネル橋本発達相談センター所長 千谷先生を講師にお迎えし開催しました。
 相模原市を中心に県内各所から83名の参加があり、母子保健指導者の発達障害への関心の高さをうかがい知ることができました。職種は保育士が最も多く、保健師、看護師、ソーシャルワーカー等の専門職の参加がみられました。
 講演は、発達障害児に現れる気になる行動は、氷山の一角でありその背景があることを、擬似体験を交えながらの講義でお話しされました。一人ひとり自分の好きなテンポがあること、現象の見え方・感じ方が違うことを考えることでその子に生じる辛さを知ることを参加者全員で体験しました。
 千谷先生のお話は、パワフルで、お子さんの立場に立った語り口で大変わかりやすく、楽しい参加型の講義から発達障害児の理解につながったと思われます。
 行動の背景を考えることで支援につながる、その子の感情を私たちが寄り添い言葉で表現する、できない高い目標を目指すのではなく、今できていることの一歩上を考える(例えば、友だちぶっちゃいけないではなく、ぶったら謝れる)、ストレス度の高い発達障害のある児の母親を支援することが児の支援につながるという助言が印象的でした。
 質疑応答では、別紙のとおり、保育園でよくある問題を中心に、基本的な発達障害への考え方、特徴、児や保護者に対する対応者のスタンスについてお話しいただき、学びを深めることができました。


<質問>

Q1.いろいろなタイプの園児がいるが、その中にスローテンポな児がいる。(年少児)
   声かけの工夫をしているが、やはり行動はゆっくりである。
   就学に向けての支援はこのままでよいのか。

のんびりの理由は何だろう?
就学に向けて、発達全般の遅れはあるのかどうか気をつけてみる必要あり。
ふりこのように動きはじめると、行動がうまくいく場合がある。「その子のふりこが動き出す」にはどのような支援をしたらよいのか探ってみるとよい。
(保護者に対する支援)
「お着替えでとまってしまうことがあるけれど、○○するとやりはじめるよ。」等、園でできたことを伝えていく。「今、園でやっている支援をそのまま受けやすいのが、学校の支援級。そのためにも就学支援を受けてみたらどうかしら。」等話してみる方法もある。

 Q2.2歳4か月児。かみつきがひどい。保育士がマンツーマンで対応中。
   言葉はあまり出ていない。指さしで要求。手づかみで食べる。保護者も噛みつかれている。
   かみつきの理由と対処方法について、ききたい。

その子の背景はそれぞれである。
じっくりみていると何もないところでかみつくことはなく、何かしら理由がある場合が多い。視野が狭い場合、いきなり人が入ってくると恐怖に感じることがある。「やめてよ」「びっくりした」「こわい」が言えないために自身の防御反応の可能性あり。かみつく時の状況(近くに人がいたか?時間は?天気は?等探ってみるとよい。

 

Q3.3歳児、4歳児、5歳児と同じ部屋で統合保育をしている。
    配慮が必要な子たちがいる中でのクラス運営について。


 
クラスの子たちみんなを褒められるクラスがうまくいっている傾向にある。「Aくんのために、先生のために、ぼくたちはこんなことができる」とできる子も思えるような支援が必要。

 Q4.一時保育室を担当している。幼稚園に入園しようと思ったが、不安でお試しをかねて一時保育を利用する人がいる。児の発達の遅れについて、母にどう伝えればよいのか。また、健診でショックを受けている母への励ましは?
時間もないので、ヒントにとどめるが、何もないかのように過ぎてしまうより、早期にケアされることが講師の願いでもある。
事例として、保育園の園長に遅れを指摘され、そのときは園長と大喧嘩した母であったが、何年かして療育相談に訪れた際、「あの時、園長に言われたからここに相談にくることができたのだと思う。」と話したという。

 

投稿者 神奈川県小児保健協会 | 記事URL

2013年10月16日 水曜日

コラム「いじめ」問題への一考察

コラム
「いじめ」問題への一考察
横須賀共済病院小児科
 番場 正博

 
 去年から新聞テレビを賑わせている問題として、「いじめ」の問題があります。いうまでもなく、世界中にある問題であり、昔からあることなのですが、最近になって、その根絶を求める論調が目立ってきているようです。ここでは社会的側面に限って、私見を述べてみたいと思います。「いじめ」を無くす、または激減させるためには、社会的な手当てとしていくつかの方法があります。ひとつは家庭であれ教育現場であれ、子供達が無条件に従うような権威の構築です。家庭は、子供たちが社会的規範、または共同体の諸価値を学ぶ場の一つと看做されていました。しかし、家庭や教育機関が既にそのような役割を強制する力を失ったことは明白です。さらには、それらの復活に反対する勢力の方がまだ強いでしょう。これが神経症の原因になると主張する論者もいますし、オイディプス神話の再現になるかも知れません。ふたつめは、罰則の強化です。本気で「いじめ」をなくそうとするなら、
加害者及びその保護者に対して、通学禁止、退学、入学禁止などの社会的制裁が必要です。これにも反対意見が多くあると思います。量刑の決定をどうするか、加害者の人権を如何考えるか、冤罪が起こる可能性など、課題はあります。一般に加害者とその保護者はこの問題の重さについての認識が、希薄であるような印象です。第三の方法は、監視の徹底です。ベンサムの提唱したような、パノプティコン(全展望監視装置)の概念でしょうか。監獄の中で監視員が囚人から見えない状態で監視できれば、常時、監視されているよりも効果的であるという理論です。このことの是非はさておき、「いじめ」を減らすということを至上命題に据えて考えれば、これも有りかということになります。そして、より根源的な解決は、社会が多様な価値観をもつ人間の相互関係として完成されることでしょう。ヒトそれぞれの環境世界へのかかわりや精神活動には多様なものがあります。その違いと存在価値を認めあい、差別選別の意識をなくしていく作業が、相互に信頼しあう社会をつくりあげることに必要と思われます。

投稿者 神奈川県小児保健協会 | 記事URL

2013年10月15日 火曜日

最近のトピックス

こどもの食と医療
神奈川県立こども医療センター
神経内科・重症心身障害児施設
井合 瑞江

 
 医食同源という言葉は実は日本人の造語だが、「病気をなおすのも食事をするのも、 生命を養い、健康を保つためで、その本質は同じだということ」と広辞苑に記されている。
こどもにとっては「健康に成長・成熟していく」ために栄養は切り離せない観点となる。
 医療における栄養は、点滴の登場、約50年前のDudrickによる高カロリー輸液考案、小児用アミノ酸製剤の開発、小児用経腸栄養剤、亜鉛・銅・セレンなど微量元素やビタミン類の補充など、様々な病態へのより細やか栄養治療がされるようになってきた。経口摂取ができない、または下手なこどもたちへ、鼻からの経管栄養も可能となり、栄養改善とともに誤嚥による気道感染を防ぐ手立てとなった。
 最近の変化として、胃ろうの増加と経腸栄養剤の見直しが挙げられる。胃ろうの急速な拡がりは老人医療から障害児医療へも及び、10数年前は胃に穴をあけるために全身麻酔をするなんて・・・という時代だったが、腹腔鏡手術の普及も相まって胃ろうが当たり前となった。ここにきて、老人医療では胃ろう造設の是非に様々な議論が生じている。延命行為につながる・栄養補給のみでよいのか・・・本人の尊厳が守られる選択肢の一つとしてどう捉えるかであろう。
 こどもにとっての胃ろうは、老人とは異なる意味を持つ。すでに普通に食事をし機能していた胃腸を使う老人、これから母乳・ミルク・離乳食・・・と腸管の機能成熟が期待されるこども、こどもの胃ろうには"腸を育てる"働きも期待される。経管栄養では、液体以外の注入は難しいが、胃ろうなら、ペースト状の形がある食物を注入できる。このことはとても大きな意味を持つ。"腸が育つ"ためには、本来、腸が機能獲得していく過程で経験していくことをなるべく経験することが必要となる。ヒトの身体は代々DNAに刻み込まれたあるべき生活や経験とちょっとした冒険が、正常に育っていくために必要とされていると思える。寝たきり状態は想定外なので 側彎や骨の脆弱性につながるのと同じように、液体栄養のみでは腸は薄っぺらで吸収力の低い状態になってしまうのだ。
 同じように、経腸栄養剤についても単一の液体で何年も栄養をとることはヒトとしてどうだろうか?経験を積んで大きく育つこども・・・様々な栄養・形態・食材に触れることが望まれる。可能な範囲で"食事"として話しかけ楽しむことも大切だろう。
 こんなことを考えてくると、医療としてやってきたことがやりすぎにならないように、子ども達を大きく見守り、対応していくことの大切さに改めて気付かされる。口から食べることをやめようという医師と食べさせ続ける母親、母の想いの方が正しいことは多々あるのである。
滋養のある美味しいものを食べて、ゆったりと過ごす時間が私たちには必要なのだ。

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  問い合わせ先:日本小児保健協会
電 話 03-3359-4964
FAX 03-3359-4906

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母子保健指導者研修のご案内や「たより」を掲載しています。
また日本小児保健協会にもリンクし、ご入会の案内をしていますので、ご覧下さい。

編集後記

『発達障害児』をテーマに4年が経過し、今年度は、地域の関係機関の方々と情報を共有できるようシンポジウムを企画いたしました。充実した内容で参加希望者が多く、お申し込みをお断りする事態になってしまい申し訳ありませんでした。
また、小児保健協会の活動についてご意見等ありましたら、事務局までお寄せください。

投稿者 神奈川県小児保健協会 | 記事URL